全年齢向けにして成功したギャルゲーを紹介する

油断していると底なし沼

君が望む永遠

アージュにおける名作品、という言葉を使うとマブラヴという作品を本当は押しておきたい。しかし同社が制作したゲームに触れると避けては通れない、どうしてもこのゲームについて語らなければならない部分が出てくるので、紹介する。

こちらの作品、鬱ゲーといわれながらも名作として知られている『君が望む永遠』というものになるが、とにかくリアルな面でドロドロ過ぎる恋愛模様が繰り広げられるのだ。恋愛アドベンチャーゲームというものは、主人公は片思いではあるものの複数の少女たちから好意を寄せられている。しかし誰を選ぶかは好みと選択肢によって決定していくわけなんですが、その常識を覆したのが君望だ。

こちらの作品では一定のヒロインと既に付き合っている主人公が、順風満帆に過ごしていた最中で恋人が事故で昏睡状態に陥ってしまうという序盤が開け、その3年後に昏睡していた元恋人は目を覚ますも、その時に主人公は別の女性と付き合っていたという展開だ。

ここまでなら現実的にもよくあることですが、昏睡していた元恋人であるはずの少女はいまだ自分と付き合っていると、3年間眠り続けていたという事実を知らないのです。そのため関係は継続し、自分が置かれた状況を何一つ理解していないのです。それ故、主人公が眠っていた彼女を見捨てることが出来ず、そして今付き合っている彼女のことも捨てられず、三角関係を維持するという内容となっている。

とにかくドロドロし過ぎてて

恋愛アドベンチャーゲームで三角関係というと、ありがちに聞こえるかもしれませんが今作のようなドロドロとしたものではなく、まだ恋人関係に発展しない状態でのものだ。君望ではヒロインである『涼宮遙』と主人公の『鳴海孝之』とが付き合いだすも、遥が事故にあってしまいます。悲しみにくれる彼を救ったのは遥の親友で孝之に恋していた『速瀬水月』だ。孝之を救うために思いの丈を爆発させて伝え、肉体関係を伴う人生のパートナーになろうとした矢先に遥が目覚めてしまったのだ。

この時には既に二人共関係を持っている状態だが、片や眠り続けて3年という時間が経過していることに気づいていない少女、3年前から想いを寄せていて、助けたこともあって付き合いだした少女の板挟みに主人公が苦しめられる。とにかくドロドロし過ぎて、また別の意味で重厚な物語が本作の鬱度を語っている。

逃げ場所として

また今作ではヒロインは他にもいて、選択肢次第で上記2人以外とのエンディングを迎えるという、驚愕な展開が待っているのだ。おまけに何をどうしたらそういうエンディングになるんだと言わざるをえない、ありえないバッドエンディングも用意されているので、まだ成人向けのギャルゲーをプレイしたことがない、そもそもギャルゲーって何という人がいるなら、今作を最初にしてみようという気にはならないように。

こちらの作品をやるなら、まずはマブラヴから入った方がギャルゲーってこんなのっていうことを理解できます。

姉の昏睡によって

今作では主人公の優柔不断さがプレイヤーにとって鬼門となっている。しかし筆者はどちらかと言えば、今作では遥の妹である『涼宮茜』が一番気の毒ではないかと思っている。彼女もまた主人公に対して好意を持っていたが、姉の恋人だからと諦めがついていた。しかしそんな矢先に姉が昏睡し、その後水月と一線を越えてしまった主人公を一方的に嫌悪する。けれどそれは裏を返せばどうして自分を選んでくれなかったのかと、彼女の苦しみがのちに主人公に対する強い風当たりになっていったと思えば分かる気がする。

主人公たちを家族が見ていないところで一方的に敵視し、侮蔑の言葉を吐き捨てるなどの悪態を見せるが、それだけ主人公を想っていたことの証でもあった。そして彼女に用意されたバットエンディングも相当なもので、やっぱりドロドロし過ぎています。

一般向けにはなったが

ヒット作、と言える実績はある。その経緯もあって全年齢向けに作られはしましたが、あまりにドロドロな内容にこれはアカンと判断した人が殆どのはず。なので進めるにしても、相応の覚悟を持ってプレイするように、なんて注意をする人もいそうだ。

マブラヴとはまた違った名作を送り出しているアージュですが、この作品をプレイすると恋愛アドベンチャーゲームってなんだろうという哲学的な心理に苛まれます。

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